2月12日(月)10:15〜11:45に講習会室3階にて開催されるリングホーファー萌奈美(もなみ)氏の座学講習会。
■講習内容■

これまでの自身の研究と国内外の研究から分かってきた、ウマの社会性について紹介します。
ウマは6000年ほど前からヒトと暮らし始め、ヒト社会に貢献してきました。その用途は使役、スポーツ、娯楽、愛玩など多岐にわたり、近年は動物介在介入での用途も広がっています。
ウマは、異種であるヒトと密接な関係を築くことができる、特殊な生き物です。
ウマ(Equus caballus)という生き物は、本来はどのような性質を持つのか、どのように仲間やヒトと関わり合うのか、ヒトのことをどのように認識しているのか、などについて最新の科学的知見を基にお話ししたいと思っています。
現在、ウマとヒトの間にはたくさんの課題があります。特に飼育下のウマで問題となっているのは、ウマの常同行動や異常反応の発現や、それに伴う重大な負傷事故の発生です。これらの問題が生じる主な原因としては、ヒト側がウマの性質を十分に理解せずに彼らを扱っていることが挙げられます。
この問題を解決していくためには、ウマと関わる人々がウマという生き物をよく理解することが最も重要です。
本講習を通してウマの本来の姿を知っていただき、ウマと関わる皆様が今後のヒトとウマとの共生を考え、
ウマたちとより良い関係を築くきっかけになれば幸いです。



■リングホーファー 萌奈美(もなみ)氏の略歴

略歴:
2014 東京大学大学院 総合文化研究科 博士号取得
2012~2021 乗馬クラブ社員、神戸・京都大学での研究員、特定助教を経て現職
現職:帝京科学大学 生命環境学部 アニマルサイエンス学科 講師
賞罰等:
2017年、2018年 優秀発表賞(第30回、31回日本ウマ科学会学術集会)
2020年11月 Editor’s choice論文賞(Journal of Ethology)
2022年 第1回日本動物行動振興奨励賞(日本動物行動学会)
2023年 日本ウマ科学会奨励賞
講師のプロフィール(先生の活動の紹介)
生態学、動物行動学、比較認知科学等といった専門分野をもとに、動物の社会行動にかんする研究を推進してきた。
また幼少期から日本やオーストリア等で馬と関わり、乗馬クラブでの勤務経験もある。これらの幅広い経験と知識を融合させ、ウマがヒトと密接な関係を築くようになった理由を探るべく研究をしている。乗馬クラブ等における飼育下実験とポルトガル・アルガ山等における野生下観察を組み合わせるという、世界的にもユニークな手法を用いて、ウマの社会性について研究している。
これまで、ヒトや同種他個体との関わりを検証することで、ウマが持つ「他者の状態を理解する能力」や「他者と行動を調整する能力」を明らかにしてきた。
認知実験を行う実験場所や行動観察を行う野外調査地の立ち上げにも関わり、国内のみならずフランスやポルトガルといった海外の研究者とも活発に共同研究を行っている。
また研究成果は国内・外学術集会で多数発表し、国際学術誌にも複数の論文が掲載され、多くの国内・外メディアに取り上げられてきた。アウトリーチ活動にも力を入れ、小学校、高校、一般市民向けのセミナーも行ってきた。現在は新たに、馬介在介入(ホースセラピー等)にかんする研究も始めている。